HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの現状と課題
令和3年11月4日(木)
秋田県若手政治家ネットワークの研修会において、「HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの現状と課題」について、秋田赤十字病院の大山則昭先生より、ご講話をいただきました。ご講話では、子宮頸がんについて、HPVワクチンの効果・副反応などについてお話しいただきました。
日本では他の先進国に比べて、HPVワクチンの接種率が極端に低く、子宮頸がんの罹患率・死亡率が高いのが現状です。
その背景として、日本では、 平成25年4月に原則無料の定期接種となっておりましたが、接種後に体の広範囲が痛むなどの「多様な症状」の訴えが相次ぎ、HPVワクチンの副反応ではないかと広く報道されました。厚生労働省は平成25年6月に、定期接種の位置づけは維持する一方で、対象者に個別に接種を呼びかける積極的勧奨を中止したという経緯があります。
しかしながら、HPVワクチンの副反応については、疫学的調査(名古屋Study,2018)でも有意な関連性が認められておりません。
令和2年9月には、厚生労働省より「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の対象者等への周知について」、HPVワクチン感染症の定期接種の対応について、一部改正する旨が各都道府県に通知され、秋田県が各市町村に送信しました。
また令和3年10月には、厚生労働省の検討部会において「勧奨を妨げる要素はない」と確認し、「積極的勧奨」が再開される方向となりました。
HPVへの感染、子宮頸がんの発生を防ぐのにも、HPVワクチンは有効であるという研究結果も得られています。
由利本荘市においても令和元年頃より、積極勧奨には当たらないまでも、HPVワクチンの定期接種について対象者に個別通知しているようです。
HPVへの感染、子宮頸がんの罹患率・死亡率を下げるには、接種希望者の接種率を上げていかなくてはなりません。
接種対象児童生徒へはもちろん、保護者への正しい情報発信が大事であると、大変勉強になりました。
<ご講話の要点>
- ヒトパピローウイルス(HPV)に感染すると、数年~10年で子宮頸がんが発生する可能性がある
- HPV感染前に、HPVワクチン接種することは有効である
- 日本では他の先進国に比べて、HPVワクチンの接種率が極端に低い
- 日本では他の先進国に比べて、H子宮頸がんの罹患率・死亡率が高い
- 子宮頸がんの検診も浸透していない
- 子宮頸がんの治療も大事だが、HPVの予防も大事
- 成人女性は子宮頸がんの検診、思春期女子にはHPVワクチン接種が有効
- 1994年~1999年生まれの接種率は70%ほど
- 2000年生まれの接種率は14%ほど
- 2001年生まれの接種率は1%代以下
- 接種対象児童生徒へはもちろん、保護者への正しい情報発信が重要
- 定期接種を逃してしまった世代へのキャッチアップも必要